雪
    
    雪が降った。
    久しぶりにちゃんと降った。
    前情報があまり無かったせいで、心の準備ができておらず、
    突然の雪に面食らってしまった。
    
    準備不足で割合薄着で出かけてしまった。
    車は滑ってしまうだろうな、とか、
    電車はちゃんと動いてるのかな、とか、
    心配事が先に立ってあらわれてくる。
    夜に、あまり気乗りしない外出の用事があって、
    せめて雪じゃ無かったらな、なんて思ってしまう。
    とどめに、乗用車がスリップのせいで
    信号待ちのバスにぶつかるのを見てしまった。
    
    小学5年生の時の担任の先生の話を思い出す。
    雪に喜ぶうちはまだ子供で、大人になると、
    雪の降るのを楽しめないよというような話だった。
    
    自分ではいつまでも子供でいるつもりだったが、
    実際的な話をすると、そうはいかないらしい。
    雪を楽しむつもりでも、余計な心配事ばかりが目につく。
    先生もそういう意味で言っていたのかもしれない。
    あんまり面白くない結論になってしまった。
    
    夜、家に帰る時に、警察の車両が後ろのドアを開けて
    徐行をしていて、その後ろに立っている警察官の方が
    車から融雪剤を柄杓で取って撒いているのを見た。
    歩道橋の階段では、雪が片側に寄せられて、
    こちらも融雪剤が撒かれていた。
    こういうことに気がついて有り難がるのが
    大人の雪の楽しみ方なら、少し渋すぎる。
    
1月6日
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