門外不出
マクドナルドのナゲットみたいな味のする揚げ物に
出会ったことがある人は、どれくらいいるだろうか。
聞かれなければ答えないだけで、思わぬ割合の人がいると思う。
自分は2、3度外食なんかで出くわしたことがある。
昨日もそうだった。
大手チェーン店のレシピは、基本的に表に出ないものだと思う。
個性的な味付けを売りにするファストフードなんかなおさらだ。
マックなんて「あの」味を食べにみんなが向かうものなのだから、
レシピの秘匿性は相当に高いと予想される。
いや、レシピの流出の可能性は、あらゆる方向において
徹底的かつ積極的に排除されていると仮定していいだろう。
これは、最大手ファストフードチェーンであるマクドナルドの存在感の前に、
無条件で受け入れるにやぶさかでない説であると思う。
しかし、そのような厳戒体制下においても、「マクドナルド風」の味付けが
偶発的に再現されてしまう可能性までは排除できない。
そして、それらは何食わぬ顔をして、不特定多数の客に提供される。
自分は、「マクドナルドのナゲット風」味に
複数回遭遇しているのだから、決して低くない頻度だ。
このことから、門外不出であるはずのレシピ再現のハードルが、
予想に反して低い可能性があるということが言える。
こまめなレシピの聞き取りと丁寧な試作の積み重ねで、
「あの」味が簡単に自分のコントロール下に置かれるのだ。
ただし、現実ではそう言ったことは起こり得ない。
手間暇に見返りが見合っていないからだ。
マックが世の中から消え去っても、自分は再現なんてやらないかもしれない。
世に出回っている再現レシピの再現すらしたことがない。
チェーン店などの味付けの独自性、また、その中のある種の神秘性は、
人々の怠惰によって保たれているのかもしれない。
8月29日
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